既製のツールが合わないとき、業務に合わせて作るという選択
業務を効率化したいと思ったとき、まず候補に挙がるのは、世の中にある便利なツールやサービスです。多くの場合、それで十分に用が足ります。わざわざ自分たちのために何かを作らなくても、すでにあるものを使うのが、いちばん手早く、費用も抑えられる道です。私たちも、まずは既製のもので解決できないかを一緒に考えます。
ただ、現場で長く回してきた業務には、その会社ならではのやり方が染みついていることがあります。独特の用語、特殊な承認の流れ、紙とパソコンを行き来する独自の手順。こうした業務に既製のツールを当てはめようとすると、「ツールに合わせて仕事のやり方を変える」必要が出てきます。それがよい見直しの機会になることもありますが、現場に無理を強いて、かえって使われなくなることもあります。
そういうとき、選択肢のひとつになるのが「業務に合わせて作る」ことです。既製品の便利な機能をあきらめる代わりに、自分たちの仕事の流れにぴたりと沿った、過不足のない仕組みを持てる。毎日使うものだからこそ、この「ぴたりと沿っている」感覚は、想像以上に効いてきます。余計な操作がない、欲しい情報がすぐ出る。その積み重ねが、日々の負担を静かに軽くしていきます。
もちろん、独自に作ることには相応の手間と費用がかかります。だからこそ私たちは、ご相談をいただいたときに、何でも作りましょうとは言いません。「これは既製のサービスで十分です」「ここは作る価値がありそうです」と、率直に切り分けてお伝えするようにしています。作らないという結論も、立派な提案のひとつだと考えているからです。
作ると決めた場合も、いきなり大きなものを目指すことはおすすめしていません。まずは、いちばん困っている一点に絞った小さな仕組みから始める。実際に使ってみて、現場の反応を見ながら少しずつ広げていく。最初から完璧な設計を目指すより、この育てる進め方のほうが、結果として現場になじむものになりやすいと感じています。
大切なのは、ツールに振り回されないことです。仕組みは、あくまで仕事を楽にするための手段にすぎません。既製のものを賢く使うのか、自分たちに合わせて作るのか。その判断を、流行や勢いではなく、自分たちの業務の実態から決めていく。そのお手伝いができればと思っています。
